プロフィール
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- 1976年
- いけ花龍生派入門(山本掬花に師事)
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- 1980年
- 家元1級教授取得
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- 1984年
- フラワーデザイナーライセンス取得
主な活動
いけ花龍生展・日本いけばな協会展・日本いけばな芸術協会新世代展・花道協会展等に出品。
現在、いけ花・フラワーデザインを中心に教授活動をする傍ら、医療法人社団葵会の介護老人保健施設等にて、ボランティア活動を行っている。
生け花とフラワーアレンジの違いとは…
勿論、発生の違いはありますが、根本的に「活ける」という意味に於いては、生け花もフラワーアレンジも同じ事だと思っています。
では、何が違うのかというと、素材を手にした時の、取り組み方だと思うのです。
その中には、技術の違いがまず上げられます。
そして、素材の見方・感じ方も違います。
ですが、私は両方を切り離して考えるのではなく、その時々に合わせて考えれば良いと思っています。 つまり、どちらで活けるかが問題なのでは無く、出来上がった作品が良いかどうかが、問題なのですから…。
簡単に言うと、お料理をする時に、素材を目の前にして、洋食にするか和食にするかは、同じ素材であっても、その時々で違うと思います。 また、和食風にアレンジした洋食というのもありますよね?
お花もそれと同じです。
[生け花][フラワーアレンジ]というのは、技術に対して付けた呼び方であって、そこに境界線はありません。 ですから、活けているその時々に、一番良い方法(技術)を使って作品にしています。
ただ、ひとつ言えるのは、生け花の方が“より深い感性”を求められるモノです。それは茶道にも通じる、日本人独特の美学かもしれません。
生け花と一言で言っても…
「生け花」といっても、その流派の数は3,000とも4,000とも言われています。
ですから、ひとくくりで「生け花」と言ってしまうのは、間違いが多くなります。 その流派によって、成り立ちが違っていますし、勿論考え方も違います。
龍生派では、「植物の貌」という基本概念を持って、作品作りをしています。
手にした素材の持つ、いろいろな「カオ」を取り出して、作品にしていくのです。 ですから、自分の持つ五感を最大限に使い、更に心に響いてくる感覚を大切に素材感を掴み作品化していく…という方法を用いています。
また、龍生派では素材に使用するモノに、特定の規制も概念もありません。
悪臭のしないもの・展示されている間に腐ってしまわないもの… それ以上の何の枠もないのです。 そういうフリーな中での空間アートとして、作品を作っています。
そういう意味からいくと、私の活け方は「龍生派独特のモノ」とも言えるかもしれません。
活ける時には…
まず、素材を手にして、その素材からイメージを掴んでいく場合と、創りたい作品のイメージを先に持っていて、そこに素材を当てはめていく場合とがあります。しかし、どちらにしても一番大切な事は、自分の感じた感覚(イメージ)を最初から持って、しっかりと見失わない事です。
そして「常にPUREに…」が、私のモットーなのですが、イメージを持つ時に、また、素材を手にする時に、そう考えています。
自分の中に既成概念や、定着したイメージを持って、素材に向かったのでは、そこに「新しい顔」を見出すのが、困難だからです。 また、生け花の中には、「生花・立華」という分野もあるのですが、長い歴史の中で創られてきた約束事を守り、美しく一糸乱れのない中に、自分の見つけた素材の妙を生かしていく… 息の止まるような作品作りの中で、研ぎ澄まされていく感性を体感します。
花師として…
今までフラワーギフトというと、お花屋さんが活けてのモノ、又は、フラワーデザイナーのモノでした。
「お花屋さん」は、お花を売るのが専門の職業であり、活ける事については、全く別だと思うのです。 フラワーデザイは、作品の空気感が止まっている気がしています。
もっと、空間・水・素材感・間合い…そんな感覚を大切にした作品を、新しい一つの提唱として、打ち出せていけたら良いと思っています。
もちろんその中に「私を出せていけたら…」っと思い、一作、一作…心を込めて、活けているのです。
プロフィール・松本掬寿(まつもときくじゅ)