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12.日本の家具と外国の家具 |
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<プロローグ>
■外国製の家具<板の構造> ページ1/2
外国製の家具は、大きく分けると「無垢」の家具と「ベタ芯構造」の家具に分類されるようだ。
「ベタ芯構造」とは、「フラッシュ」に似た製法ではあるが、芯材には木の枠組みではなく、MDFやパーチクルボード等を使い、表面に板を貼る製法だ。芯になる部分には空間が無い為「ベタ芯」と呼ばれている。
<参照:ベタ芯構造とは>
日本で主流だったフラッシュ構造の家具というのは海外ではあまり聞いたことがない。技術が必要なうえに製作に手間がかかるというのが一番の原因だろう。しかし、前章の中では触れなかったが、ベタ芯構造のものは日本でもよく使われている。特に、パーチクルボードにツキ板を貼ったテレビやステレオは昭和30年代に大量に出回り、現在でもキッチンの扉や、勿論家具にも(フラッシュほどではないが)使われている。
これら「フラッシュ」と「ベタ芯」との使い分けは、用途や手間、コストの問題、また日本と海外との生活環境の違いなどが大きく関わっているといえる。
海外でフラッシュがあまり使われないのは、まず製造に手間がかかることだ。それは結局価格にも跳ね返る。また、日本ほどフラッシュの必要性が高くないことや、好みの問題もある。
<既製品の家具と手作り家具>
ヨーロッパの家具メーカーの量産工場に見学に行った人達が必ず言うのは、工場の大きさに比べて工員の数が少ないという事だ。殆どの作業を機械化し、手で仕上げる部分を少なくしている。しかし、だからと言って仕事が粗いかというと、ヨーロッパ等の人気メーカーではそのような事はない。また多少粗い部分があったとしても、あのデザインセンスの良さは、それらを十分カバーできるものだと思う。また、そこが日本の家具との一番の違いではないだろうかと個人的に思う。
製造工程もかなり違う。極端に言えば、入り口から丸太を入れると、出口から家具になって出てくるという「一貫生産」を行っているようだ。それにより、木材を有効に無駄なく活用する事が可能になる。
無垢材の家具に関しては、作り手(職人)と買い手(消費者)の両者が日本とは違っている。家具職人には、医師,弁護士と並ぶ地位があり、社会的にもかなり認められているという事は以前にも触れたことがあるが、買い手側にも同じ事が言える。いい家具を何十年、何世代にも渡って使うという意識があり、又そうする事が一種のステータスとなっているようだ。新しい家具でも何世代も前から作っていたように見せる為に、わざと虫穴やキズをつける。それらも非常に人気が高い。実際そういったキズやアンティークっぽさを出すためのにはかなりの技術が必要である。
また、当然のことながら無垢を使うという事は、反ったり割れやすかったりという欠点がある。そのため無垢の材を使うには、ものによっては何十年という長い時間をかけて乾燥させなければならない。つまり今家具にする事ができる材料というのは、当然何十年も前、自分よりも前の世代の職人が用意しておいたものなのだ。そして同じ様に、何十年か先の為、次の世代の家具の為に、現在の職人が材料を用意する。
【次ページへつづく】
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