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●HOME>木の話(目次)>[アメリカ森林事情]1.森林の再生 |
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[アメリカ森林事情]
1.森林の再生/自然のバランス維持 |
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アメリカの森林の話をしよう。
南アメリカ及びアジアの熱帯雨林の絶滅が注目を浴びているが、米国の温帯林はそれと非常に異なる状況にある。ここでは、専門家の管理により後続世代の森林が成長し、伐採ができるように維持されている。
米国は、国土のなんと3分の1に相当する7億2千8百万エーカーが木で覆われている。つまり、現在米国にはコロンブスが500年前に新大陸を発見した頃の約70%の森林がある、ということになる。広葉樹だけをとってみても、トリネコ、サクラ、メイプル、オーク、ウォールナットなどの広葉樹が1955年以降70%増加しているという。これは、毎年伐採が可能な年齢に達した広葉樹の半分しか伐採されない、という森林管理の姿勢と努力の現れであると考えられる。
木は本来、再生可能な天然資源である。正しく育てて成長させれば、伐採と再生が定期的なサイクルで行われる。他の植物と全く変わらない。
通常、広葉樹は一本一本成長の度合いを見ながら伐採される。熟年に達した木は一本または複数で伐採され、伐採されると日光は地面にまで届くようになる。すると苗木に日光があり、急速に成長する。4〜5年のうちに高さ4,5〜6mまで達する。
このような再生プロセスには環境に対するすばらしい影響もある。それは、大気の浄化作用である。元気の良い森林は酸素を作り出し、大気の大規模な浄化を行うということだ。科学者の計算によれば、森林に1トンの木が成長すれば1.07トンの酸素が作り出され、大気から1.47トンの炭素が除去されるという。
二酸化炭素を酸素に変換させる木の能力は、主に木の年齢及び健康状態によって決まり、年をとった森林は変換率が低下するが、若く元気な森林は交換率が良く、本当の意味での酸素工場となる。
産業界のリーダー及び初期の天然資源の保護管理論者達が、継続的な森林管理が必要である、と考えたのは約100年前のことである。そして今日、森林の養育方法は1895年に学問として設立された「林学」と呼ばれる科学に基づいている。林学が実施され、米国の森林は今日の健康と生産性を達成した。そしてこの森林の維持のために、何千もの人を雇っている。森林が良い条件にあるかどうかということは、その国の国民の森林への関心を示し、米国で森林を保護しようという道徳観は、今、一般の人々の意識深くに根付いてきている。これは約1世紀もの間、静かに実施されてきたプロセスにより達成された成果であり、これから先も長い間、豊かな森林を守る大きな糧となるだろう。
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